前編 第3章 お経の essence一覧表(10経)

パーリ聖典10経27essenceを集めて一覧表を作成いたしました。

     パーリ聖典 10経の essence 一覧表



#1 <一切> −essence

1> 眼と色、耳と声、鼻と香、舌と味、身と触、意と法を
   名づけて一切という。


#2 <知るべきもの> −essence

2>   色、受、想、行、識は、知るべきものである。

2−1> 色、受想行識は、知るべきものである。
2−2> 色は、知るべきものである。
2−3> 受想行識は、知るべきものである。

3>   貪欲、瞋恚、愚痴を滅尽することを、あまねく
      知るという。


#3 <涅槃> −essence

4> 貪瞋痴の壊滅を涅槃という。

5ー1> 八正道は、涅槃を実現する道である。
5ー2> 八正道は、正見、正思、正語、正業、正命、正精
     進、正念、正定である。


#4 <一比丘> −essence

6>   貪瞋痴の調伏/壊滅を、涅槃とも不死ともいう。

7ー1> 八正道は、涅槃を実現する道である。
7ー2> 八正道は、正見、正思、正語、正業、正命、
正精
     進、正念、正定である。


#5 <シンサパー> −essence

8ー1> わたしは、四つの真理を説いた。
8ー2> わたしは、四つの真理は、滅尽、涅槃に資するか
      ら説いた。



#6 <善男子> −essence

9> 釈迦の弟子は、四つの真理を理解せんために精進す
   る。

#7 <苦行のこと> −essence

10> いかなる苦行も、利をもたらすことなし。
    わたしは、なんの利益もない苦行から離れてよかった。

11> 正念 (sati) に住して、さとりをうることができた。

12> わたしは、戒と定と慧とにより、悟りの道を修め、
    無上の清浄にいたった。


#8 <八正道> −essence

13> 八正道は、正命、正精進、正業、正語、正思、正念、
    正定、正見です。

1. 正命(正しい生活)
14 > 邪しまな生活を捨て、正しい生活をする。

2. 正精進
15>(1) 不善(貪瞋痴)が未だ生じ (arise し)ていないならば、
     不善(貪瞋痴)が生じ (arise し)ないように精進する。
15>(2) 不善(貪瞋痴)が既に生じ (arise し)たならば、
    不善(貪瞋痴)が滅 (cease) するように精進する。
15>(3)  善(不貪不瞋不痴)が未だ生じ (arise し)ていない
       ならば、
      善(不貪不瞋不痴)が生ず(ariseす)るように精進
        する。
15>(4)  善(不貪不瞋不痴)が既に生じ (arise し)たならば、
      善(不貪不瞋不痴)が滅 (cease) しないように精進
        する。

3. 正業(正しい行為)
16>(1) 殺生よりの禁制とは、不殺生:生物を殺さない。
16>(2) 不与取よりの禁制とは、不偸盗:与えられないもの
     を取らない。盗まない。
16>(3) 邪淫よりの禁制とは、不邪淫:immoral な sex を
     しない。

4. 正語
17>(1) 両舌よりの禁制とは、不両舌:二枚舌を使わない。
17>(2) 悪口よりの禁制とは、不悪口:悪口を言わない。
17>(3) 妄語よりの禁制とは、不妄語:うそを言わない。
17>(4) 綺語よりの禁制とは、不綺語:無駄話をしない。

5. 正思(正しい考え)
18>(1) 不貪の思:貪が生じているときは考えない。貪が
     生じていないときに考える。
18>(2) 不瞋の思:瞋が生じているときは考えない。瞋が
   生じていないときに考える。
18>(3) 不痴の思:痴が生じているときは考えない。痴が
     生じていないときに考える。

6. 正念 (sati)
19>(1) 身 (body) につきて身 (body) を観じて住し、正念
     正智、貪瞋痴を捨す。
19>(2) 受につきて受を観じて住し、正念正智、貪瞋痴を
     捨す。
19>(3) 心につきて心を観じて住し、正念正智、貪瞋痴を
     捨す。
19>(4) 法につきて法を観じて住し、正念正智、貪瞋痴を
     捨す。

7. 正定 (samadhi)
20>(1) 第一定 有尋有伺、貪瞋痴の離より生ずる喜と楽を
      経験する。
20>(2) 第二定 無尋無伺、定 (samadhi) より生ずる喜と
     楽を経験する。
20>(3) 第三定 喜を離れ、正念 (sati) 正智 (buddhi)、身
     (body) を以て楽を経験する。uppekkha生ず。
     vipassana 生ず。
20>(4) 第四定 楽を離れ、正念 (sati) 正智 (buddhi)、不
     貪不瞋不痴(araga, adosa, amoha) を経験する。

8. 正見(四つの智慧)
21>(1) 釈迦の教えは貪瞋痴についての教えです。
21>(2) 貪瞋痴の生 (arise) についての智慧、
21>(3) 貪瞋痴の滅 (cease) についての智慧、
21>(4) 貪瞋痴を滅 (cease) にする道についての智慧が
     生ずる。



#9 <無明> −essence 

22> 無智と無明は異なります。

23> 無智とは、正見(四つの智慧)が、生じていない
    こと。

24> 無明とは、四つの真理を、理解していないこと。

25ー1> 八正道は、無明を捨て去る道です。
25ー2> 八正道は、正命、正精進、正業、正語、正思、
      正念、正定、正見(四つの智慧)である。



#10 <夜明け(日喩)> −essence

26> 四つの真理を理解するときには、その前に、正見
   (四つの智慧)が生ずる。

27> 正見(四つの智慧)が生じた比丘は、四つの真理
    を理解するであろう。期して俟つことができる。


番外> <如来所説>の四つの真理:

番外>(1) 如来の教えは、苦についての教えです。
番外>(2) 苦の生起の真理とは、迷いの生涯を引き起こす
     渇愛がそれである。
番外>(3) 苦の滅尽の真理とは、その渇愛を滅して、執着
     なきにいたるのである。
番外>(4) 苦を滅尽する道の真理とは、八正道である。



パーリ聖典の10経27essence 一覧表をご覧いただきま
した。

27
essenceの中には、重複もありますが、全く素晴らしい
ことが書かれています。これらを整理編集した体系が、淡
く想像でき、強い希望が、私に生じました。

私は、27essence を整理編集して、本書の中編[釈迦の教え]
と後編[ 釈迦の教えのpractice]を書き進みました。



             目次へ戻る 次章へ ホームへ